「カフェレストランOA」の店主はネパール人の南部ミランさん。日本に来て９年になります。だから、とても流暢な日本語を話します。
お店の名前の「OA」は「Once Again」から来ています。「また来てくださいね」という意味を込めています。
ミランさんが独立して、千本丸太町から北へ歩いて2分のところにお店をオープンしたのは、令和元年の７月です。だから、まだできたてほやほやのお店と言ってもいいでしょう。
ミランさんは日本に来てから、長くホテルの中にあるレストランで調理をしていました。その頃に感じていたのは、京都で出会うインド料理はどこも同じような味だということでした。だからインド料理とはひと味違う、本当のネパールの味が楽しめる店を作りたいと思うようになりました。それで思い切って開店したのが、この「OA」というお店です

インドの料理と言えば、誰もがカレーを思い出します。と言っても日本の食品メーカーが作っているカレールーを使った、カレーライス用のカレーではありません。ナンというインド風の薄くて大きなパンと一緒に食べる、スパイスの効いた色々な味のカレーです。
　ミランさんの話では、インド料理のカレーとネパール料理のカレーは似ているようで違うのだそうです。京都のインド料理の店が使っているスパイス類は、ある程度同じものに限られているそうです。だから、味も似たものになってしまうのです。
　ミランさんは、本当のネパールの味を知ってもらうために、ネパールでしか手に入らないスパイスを求めて、はるばると仕入れに出掛けています。こうして、ネパールの味がする料理を提供しています。
　またネパールのスパイスが手に入るので、ネパールの家庭料理も提供することができます。実はインド料理ではおなじみのナンというパンも、ネパール料理では出てこないそうです。ネパールでは、日本と同じように料理にはご飯を添えます。こうした違いがあるので、「OA」が出す料理では、ナンだけでなくご飯も選べるようにしています。

ミランさんの名刺には「南部ミラン」と名前が入っています。南部という姓は奥さまの姓です。そうなんです、奥さまは日本人の方です。ホテルで働いているころに、友人の紹介で知り合って結婚しました。
ミランさんが言うには、故郷のネパールの首都カトマンズも京都と同じような盆地で、すぐ近くに山があって、雰囲気も京都と似ているそうです。だから、京都はとても居心地が良いそうです。
お店ではミランさんがお客さまの相手をすることが多く、調理は同じネパール人で、ミランさんよりも料理人の経験が長いハリさん（右写真）が担当しています。韓国で調理の仕事をしていたハリさんを、独立に当たってミランさんが日本に来てもらいました。

日本が好きなミランさんは、メニューにも一工夫しています。それは日本人が大好きなフライド・チキンやエビフライも、ア・ラ・カルトとしてお出ししていることです。
このフライド・チキンは千本商店街の「100円商店街」のイベントで出してみたら大好評で、すぐに人気メニューになったそうです。

「OA」というお店を開店してまだ日が浅いのですが、ホテルにいた頃になじみになったお客さまも、食べに来てくれるそうです。そして何よりも、ご近所の方々がコストパフォーマンスが良いからと、大勢来てくださるようになりました。
　お昼は750円から、夜のコース料理でも、ナンかライスに飲み物も付いて1,500円からとなっています。また食べきれなかったものは、持ち帰れるように準備しています。
　好評のフライド・チキンのテイクアウトも500円、カレーのテイクアウトも650円からあります。
なぜこんな価格にしているのか聞いてみたところ、もちろん競争が多いという理由もあるけれど、新しい店だから、なるべく多くのお客さまに喜んで来てもらえる店にしたいから、という答えが返ってきました。
新たに、ネパールの家庭料理の「ダルバート」もメニューに加わりました。それほど大きなお店ではありませんが、それでもテーブル席が8つとカウンターにも5席あります。
お店に一歩入ると、香ばしいスパイスの香りと、低く流れる南アジア風のBGMにフワリと包まれる、癒しの空間が待っています。　【佐々木　雅一】